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ニコチン依存症を知っていますか? タバコをやめられない理由を一緒に考えてみましょう

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はじめに

タバコが健康に悪いのは分かってるし、家族からも禁煙を勧められている、吸える場所も年々減っていき肩身が狭い・・・それなのに、禁煙できないのはなぜでしょう?
現在では、やめられない禁煙の実態はニコチン依存症であることが分かっています。この記事を通して、喫煙の習慣やニコチン依存症について考えてみませんか。きっと、禁煙にチャレンジしたくなるはずです。

あなたがタバコを吸う理由は何ですか?

あなたがタバコを吸う理由は何ですか?吸うと落ち着く、仕事に集中できる、ホッとするなど様々な理由が上がりそうです。反対に、あなたが禁煙したと仮定したとして、その場合のメリット、デメリットを考えてみてください。今は禁煙するつもりはなくても、あなたの禁煙習慣を違う角度から見ることができるでしょう。あなたにとって、タバコのメリットと禁煙のメリットはどちらが大きいか、じっくり考えてみませんか。

禁煙

タバコを吸うとすっきりするってホント?

 タバコを吸った時にイライラや落ち着かない感じがずっとおさまっていく感覚を、喫煙者なら誰でも味わったことがあるはずです。ストレスの多い社会で生活するにはイライラを解消できるタバコは欠かせないと考える方も多いでしょう。

しかし、本当にそうなのでしょうか。タバコを吸っている間に、身の回りのイライラの原因が解決していることなど、なかなかありません。実はイライラは仕事や家庭などの社会生活だけが原因ではないのです。

 タバコを吸い終わって1時間もしないうちに血液中のニコチンが減り、イライラや落ち着かないなどのニコチン切れ症状(離脱症状、禁断症状)が現れます。仕事や家庭のストレスが原因と思っているイライラの正体は、タバコを吸っているが故に生じているニコチン切れ症状である可能性が高いのです。ストレスが原因でイライラするならば、一番リラックスしているはずの寝起きの時間にタバコを吸いたくなるはずがありません。

喫煙という行為は、喫煙自体が原因で生じたイライラを次の一本を吸うことで解消しているだけといえます。つまり喫煙の習慣から脱することができれば、イライラなどのニコチン切れ症状とは無縁の生活が送ることができるのです。

タバコをやめればイライラが無くなるってこと?
禁煙すると、最初の三日間はニコチン切れ症状が強く現れますが、ほとんどが一か月以内に消えます。ただし、タバコを吸いたい気持ちは10週間以上残り、再び吸ってしまうきっかけになります 。

ニコチン依存症

 いつでもやめられると思って吸い始めたのに、いつの間にかタバコと離れられなくなってしまうのはなぜでしょう。禁煙に挑戦してもつい買ってしまうのではないでしょうか。これは、タバコの煙に含まれるニコチンが、ヘロインやコカインにも劣らない強い依存性を持つからです。

そのため、現在では喫煙する習慣の本質は「ニコチン依存症」という、治療が必要な病気であるとされています。では、タバコを吸うという行為が、どのようにして「ニコチン依存症」に至るのでしょうか。

 タバコを吸うと、ニコチンが数秒で脳に達し 快感を生じさせる物質(ドーパミン)を放出させます。ドーパミンが放出されると喫煙者は快感を味わいます。同時に、 またもう一度タバコを吸いたいという欲求が生じます。

その結果、次の一本を吸って再び快感を得ても、さらに次の一本が欲しくなるという悪循環に陥ります。この状態がニコチン依存症(=喫煙の習慣)です。

 風邪を自分の力だけで治せないのと同じように、病気であるニコチン依存症を意志の力だけで治すことは難しいのです。禁煙治療は一定の要件を満たすことで、健康保険等や各自治体による助成制度が受けられるなど、ニコチン依存症を治すための環境が整いつつあります。禁煙しようと思ったら医師に相談してみてはいかがでしょうか。

ニコチン依存症チェック

下の表は、ニコチン依存症かどうかは判定するテストです。10項目の質問に「はい(1点)」または「いいえ(0点)」で答え、どちらでもない場合は0点とします。合計点が5点以上ならばニコチン依存症とされます。早速チェックしてみましょう 。

ニコチン依存症を判定するテスト TDS

①自分が吸うよりも、ずっと多くタバコを吸ってしまうことがありましたか。
②禁煙や本数を減らそうと試みて、できなかったことがありましたか。
③禁煙したり本数を減らそうとした時に、タバコが欲しくて欲しくてたまらなくなることがありましたか。
④禁煙したり本数を減らした時に次のどれかがありましたか(イライラ、神経質、落ち着かない、集中しにくい、憂鬱 、眠気、胃のむかつき、脈が遅い、手の震え、食欲または体重増加)
⑤④で伺った症状を消すために、またタバコを吸い始めることがありましたか。
⑥重い病気にかかった時に、タバコはよくないとわかっているのに吸うことがありましたか。
⑦タバコのために自分に健康問題が起きているとわかっていても、吸うことがありましたか。
⑧タバコのために自分に精神的問題が起きているとわかっていても、吸うことがありましたか。注)
⑨自分はタバコに依存していると感じることがありましたか。
⑩タバコが吸えないような仕事や付き合いを避けることが何度かありましたか 。注)喫煙や本数を減らした時に出現する離脱症状(いわゆる禁断症状)ではなく、喫煙することによって神経質になったり、不安や抑うつなどの症状が出現している状態。

「まず減煙」は余計つらい

健康のためにタバコの本数を減らす減煙から始める方は多いようです。しかし、減煙しても軽いタバコの場合と同様に吸い方を調整してしまうので、頑張って我慢して本数を減らしても、期待するほどの健康上のメリットはありません

また、減煙するとタバコから余計に離れにくくなってしまいます。目覚めて一本目のタバコ思い出してみてください。いつもより美味しく感じませんか?これは、睡眠中に喫煙できないためニコチン切れとなり、朝の一本目でニコチン切れが解消され、大きな満足感を得るためです。

これは減煙する場合でも同じです。吸う間隔が長くなると、イライラや落ち着かないなどのニコチン切れ症状がより強くなってしまいます。そして、次の一本で症状が解消されると非常に美味しく感じるため、タバコから離れられなくなってしまうのです。スッパリと吸うのをやめることが禁煙への近道です 。

こんなにある、禁煙のメリット

「長年吸ってきて肺は真っ黒だろうから、今更禁煙しても無駄だ」などと考えていませんか?そんなことはありません。禁煙は始めたら短期間のうちに効果を実感できる楽しい作業とも言えます。

例えば、肺の機能は禁煙を始めて2週間~3ヶ月で回復が見られます。咳や息切れも1~9か月で改善されます。また、継続すると様々な疾患のリスクが吸わない人に近づいていきます。禁煙に遅すぎることはありません

■禁煙後20分 ・・・心拍数が落ち着く
■12時間・・・血中の一酸化炭素が正常値になる
■2週間~3ヶ月・・・心臓発作のリスクが低下し始める、肺機能が改善し始める
■1~9ヶ月・・・咳。息切れが改善
■5年・・・脳卒中のリスクが低下
■10年・・・肺がんによる死亡率が喫煙者の約半分になる、咽頭、食道、膀胱、腎臓、膵臓の癌のリスクが減少する
■15年・・・冠動脈疾患のリスクが非喫煙者と同等になる

禁煙すれば健康面以外でも美容や金銭面、その他生活に関わる多くのメリットが得られることでしょう。

禁煙すると他にもこんなメリットが!

・食べ物を美味しく感じるようになった
・息切れせずに階段を登れるようになった
・髪や服に匂いがつかなくなった 
・家族や友人が喜んでくれた
・火の始末を心配しないで済むようになった
・貯金ができた

あなたにはどんな嬉しいことが起こりそうですか?

「こんな病気もタバコと関係しています」

タバコが身体に悪いことを知らずに吸ってる人はほとんどいないでしょう。しかし、身体に悪いと言っても、具体的にどんな病気と関係しているのかは意外に知られていないようです。多くの人は、肺癌の他に病名をあげられないのではないでしょうか。あなたはいかがですか?

実際には、タバコを吸っていると動脈硬化が原因で起こる心臓の病気や脳卒中、肺の炎症が原因で起こる慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの呼吸器の病気、糖尿病などの私たちが活動するためのエネルギーを作る働きが障害された病気など、全身の様々な病気にかかりやすくなります。

癌についても、肺癌だけでなく咽頭癌や胃癌、膀胱癌や子宮癌など、喫煙は多くの部位における癌のリスクとなります 。

あなたに合う禁煙方法を探しませんか?

あなたがそろそろ禁煙しようかなと考え始めているなら、今がチャンスです。ご自分に合った禁煙方法を探すことから始めたらいかがでしょうか?

・根性で辞められると思う人・・・一人で禁煙
・禁煙に自信がない人・・・医師と一緒に禁煙

健康保険等で受けられる禁煙治療

禁煙治療は一定の要件を満たす、医師がニコチン依存症の管理が必要と認めた場合に健康保険等が適用され、窓口での自己負担額も軽くなります。

なお要件を満たさない場合でも、医師の判断により自由診療(健康保険等を使わない診療)で禁煙治療を受けることもできます。病院に行く前に自分でチェックしてみましょう。

①ニコチン依存症を判定するテスト(TDS)で5点以上
先述したニコチン依存症チェックリストです。
②35歳以上の方は(1日の喫煙本数×喫煙年数)が200以上
 例えば、45歳の人で25歳から1日15本喫煙 いる場合は、15本×20年=300であり対象となります。
③禁煙したいと思っている
④医師から受けた禁煙治療の説明に同意
 説明内容に納得された時は文書で同意します(サイン等)

健康保険等で禁煙治療のみを行った場合の自己負担額(3割負担として)は13,000円~20,000円程度です。

標準的な禁煙治療のスケジュール では、12週間にわたり合計5回の診察が行われます。

各診療時には、息に含まれる一酸化炭素の濃度を測定します。一酸化炭素はタバコの煙に含まれる代表的な有害物質ですが、禁煙を始めればこの値は低下するので次回の測定が楽しみになることでしょう。

また、禁煙を継続するためのアドバイスや禁煙補助薬の処方を受けることができるため、禁煙は成功しやすくなります

禁煙の薬「飲む」「貼る」「かむ」

現在、禁煙のための薬には「飲む」タイプ、「貼る」タイプ、「かむ」タイプの3種類があります。それぞれの特徴を知って薬選び 参考にしてください(2018年5月現在)
タバコがなかなかやめられない人は禁煙治療を受けてみませんか?

■「飲む」ニコチンを含まない飲み薬
ニコチンを含まない飲み薬です。1日2回食後に飲みます。 始めてから8日後に禁煙を開始します。通常12週間、服用を継続します。医師の処方が必要です。

・飲むだけなので簡便
・一定の要件を満たすと健康保険等が適用される
・ニコチンを含まない
・離脱症状だけでなく、喫煙による満足感も抑制

■「貼る」ニコチンパッチ
ニコチンパッチは、ニコチンを含んだ皮膚に貼る薬です。一日一回、上腕やお腹、背中などに貼ります。標準的な使用期間は8週間です。皮膚のかぶれを防ぐため、毎日貼る場所を変えると良いでしょう。薬局、薬店で購入するタイプと、医師に処方してもらうタイプがあります。

・貼るだけなので簡便
・医師に処方してもらうタイプは、 一定の要件を満たすと健康保険等が適用される
・離脱症状を抑える

■「かむ」ニコチンガム
ニコチンガムは、ニコチンを含んだガムで口の粘膜からニコチンが吸収されます。一回の使用量は必ず一個とし、禁煙し始めは吸いたくなった時に我慢せずにかみ、次第に減らします。かみ方は普通のガムと異なりますので、十分に理解してから使用しましょう。

・ タバコが吸いたくなった時にいつでも使用できる
・ニコチン補充と同時に口寂しさを紛らわせる
・離脱症状を抑える

最後に

ニコチン依存症は病気です。また、将来に渡り、自分だけでなく他人にも新たな病気を引き起こす原因にもなります。以前の私を含め、喫煙者は当然これは重々承知の上で喫煙しているでしょう。

あなたの体だから、周囲の人に全く迷惑を掛けなければ、無理にやめた方がいいというつもりはありませんし、あなたの自由です。

禁煙

その上で、禁煙したい方。なんとなく禁煙したい、程度の理由では恐らく失敗します。もし、真剣にやめたいと思うのであれば、やめたい「理由」に「責任」を持ち、その「決意」と「覚悟」を持って、禁煙に挑戦してください。

禁煙
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*本記事は私が禁煙外来を始めた時、医師からもらったパンフレットを参考にし作成しています。非常に参考になりそうな情報なので、病院に行かなくても見れるように記事にしました。 「ファイザー(株)ニコチン依存症をしっていますか?」パンフレット抜粋